三年半くらいです。

ボケクエスト4優勝
大喜利大使館4位

覚えてないけど、何かで見かけて、力試しみたいな感じで始めました。当時の自分はなぜか自信に満ち満ちていたのですが、最初の一年くらいはもう全然ダメダメだったのを覚えています。具体的には、大喜利プラスで2000回答くらいしたのにずっと二段だった。でも、仲の良い人ができたり、ネタボケで長文回答をしたらターンブルさんが褒めてくれたりして、そういうことの積み重ねで何とかやってこれました。

自分が意識しているのはリアリティがあるかどうかです。とはいえ、なぜリアリティを重視しているのかは、正直自分でもよく分からないところがある。ただ、ユーモアというものが、ただ誰かを笑わせるために付かれる嘘以上のものであって欲しい、という願望は昔から持っていたような気がします。だから、変なことが言えさえすればいい、ウケさえすればいいとは全く思いません。こうした考えがベースにあります。

大喜利において、一般的に重視されがちなポイントとして「距離感」があると思いますが、ボケを考えることがイコール〈距離感の調整〉にならないように気を付けています。もちろん、距離感を意識することは重要だと思います。発想が手前にありすぎると意外性に欠けてしまうし、遠すぎるとそもそも理解してもらえない。距離感は、ボケをボケとして成立させるために必要不可欠な要素だと言えます。しかし、だからと言って、距離感ありきでボケを考えてしまうと、そのためにあらゆる大喜利の魅力を犠牲にしてしまうとも思うのです（しかし、そうすることで立ち現れる別の魅力もあるはずで、結局はどちらが好みかという問題に落ち着くのだと思います）。

ですからたとえば、『「野球をして楽しかった」だと普通すぎるから「野球をして悲しかった」にしてみようかな』というように、お題とは無関係に言葉だけ操作して距離感（ズレの程度）を調整する、ということはしたくない。パズルのように組み立てたものではなく、初めから全体として浮かび上がってくる、それゆえに切り分けられない（切れ目のない）ような回答が美しいと感じます。なぜなら、現実は切り分けられないからです。非現実にも現実の論理を適用させたい（し、そうでなければ意味がない）、というのがこだわりとしてあるのだと思います。

大喜利には、非現実と現実の行き来があると思います。回答というのは基本的に非現実ですが、それを考えるためにはまず現実を見つめる必要がある。そして、実際に見たものや触れたものを素材として、論理的に非現実を考える。あるいは、そういう過程を経て生まれた他人の回答に触れる。

大喜利は、そのようにしてこの現実の解像度を高めていく営みなのだと思うし、それこそが魅力なのだと思っています。現実から離れることで面白さが生まれるのではなく、現実そのものに既に面白さは含まれているのだと、最近強く思います。

どういう流れでこの場面に至ったかがイメージしやすい。ギリギリあり得そうというラインを上手く突けた回答だと思います。

好きな人との駆け引きを「恋愛をする以上は避けられない」という考えのもと、割り切ってやっている女性がいたら面白いと思いました。

誰々は誰々のことが好きらしいよ、みたいな噂にも広く知られているものとそうでないものがあると思いますが、修学旅行の夜に打ち明けるのは基本的に後者であって、「そんなのもう知ってるよ」みたいな話を今更されても興醒めでしかないだろうなあと思います。

この回答を見ると火を囲みたくなるから、良い回答だなと思ってます。

こういう機会があったら、絶対に挙げようと思っていた回答です。ペンギンは可愛いし、どちらかと言えば好きですけど、どこか情けなさがある。ペンギン自身はそんなこと思っていないだろうけど、自分たちの可愛さにかまけて、のうのうと生きやがって、プライドないのか、みたいな、いや、そんなことはないんだけど、でも何となくそういうのってある気がする。だから「俺がペンギンだったら自殺する」という文言だけでも、十分に「俺」がどういう人間かが伝わってくる（動物の知識として成立している）。本当に衝撃を受けました。

「言わせた」という場面を描写しようとすること自体が、自分にはない発想すぎて驚きました。たしかに、自分が何かを言うよりも、彼女に何かを言わせてしまう罪の方が重い気がするし、より悪どい印象も受けます。

多分、ネット大喜利全体の中で一番好きな回答です。こんなにありふれた（それ自体では面白さを持たないような）言葉だけで、こんなに面白い場面を描けるのかと思いました。この回答は、ボケのためにわざとらしいことをしていない。ワードに頼れば、表面上ボケっぽくするのは超簡単だけど、これはそうじゃない、もっと深いところに根ざした気持ち悪さ。だから、瞬間的な、一瞬笑ったらそれで終わり、みたいな面白さじゃなくて、じんわり浸透していくような面白さになっているんだと思います。自分なら「本気の恋をしまへんか」で締めることを絶対に思い付けない。

こういう、アイデアを軸にした回答も好きです。そして、私(芸人＝白夜(現象さんは間違いなくその道のトップランナーだと思います。元々はこういうポップな面白さを目指していたんですけど、坂本さんに道を壊されました。

たしかに、カズダンスの動きのチープさ（ちょっとチープですよね？）も相まって、唐突にコンビニでやっているという事実が強調されそう。

坂本さんは言うまでもないです。パッと思いつく好きな回答がほとんど坂本さんのものでした。色々な方に名前を挙げられてますし、自分から付け加えられることはほとんどない気がします。坂本さんから点を入れてもらった回答はほとんど覚えているし、あまり良くないことかもしれないけど、それだけで十分だと思ってしまいます。

私(芸人＝白夜(現象さんも大好きです。ネット大喜利を始めてから、一貫してボケを見返し続けているのが坂本さんと私(芸人＝白夜(現象さんのお二人です。それぞれ別の山でてっぺんを取っている方だと思いますが、自分なりの面白さを持っているという点では共通していると思います。

次に、たんじぇんとさんと森森さん。私は基本的に、人間性やこだわりが回答に滲み出ている方が好きです。お二人とも会ったことがありますが、そもそもが面白いです。たんじぇんとさんとは旅行をしたことがあって、森森さんとは東京タワーの真下で一緒にツイートを考えたことがあります。

たんじぇんとさんの回答から紹介します。マルチクリエイターというチームで一緒だった頃のものです。たんじぇんとさんは、最近はそんなことないと思いますが、常に何かに怒っているという印象がある。もちろん、半分くらいは冗談で言っていたんだろうけど、そういう感情の働きが強いからこそ魅力的だし、面白いんだろうなと思ってます。

何というか、ちょっと本当に嫌になる感じの無能さがある

同じお題のたんじぇんとさんの没ボケです。これは、実際にそういう場面を経験したことがあるわけでもないのに、感覚としてすごく分かるなと思いました。生活の中で、唐突に世界と出会い直す瞬間というか。これは何だ？なぜこれを当たり前のように受け入れているんだ？みたいな。

次は森森さんの回答です。ツイート三味線というチームで一緒だった頃のものです。森森さんと話したり、彼の回答やツイートを見ていたりすると、物事の中に面白さを見出すのが本当に上手な方なんだなと感じます。そしておそらく、自分はそういう森森さんの影響を多分に受けていると思います。

姉にお茶を出されてショックを受けてるの面白い。あるあるでも何でもないのに妙に納得感がある。

同じお題の没ボケです。こういうのも出すから本当にやめられない！今もボケクエ6という大会で一緒にチームを組んでいるのですが、とても楽しいです。居合切りされたにしては無事すぎるなー

あと、ファイアードラゴンさんも好きです。

ファイアードラゴンさんとも組んだことがありますが、やはり没ボケが面白いです。書きながら気付いたのですが、自分は没ボケが無茶苦茶な人が好きなのだと思います。

最後に、ひふみよさん。

ひふみよさんの回答を見すぎて、ひふみよの本当の良さは俺にしか分からないと思っていた時期があります。今はそんなこと思ってないです。

色々な意見があるし、あっていいと思うけど、自分はもう点取りゲームとしての大喜利をやりたいとは思わないから、見たことのない面白さを探していけたらいい。それは現実から離れた想像力の中にあるというよりは、むしろもっぱらこの現実の中にあるのだと思っていて、この現実の解像度を高めていくことが、大喜利に限らず、面白いものを見つける上では大切だと思う。想像力を働かせるよりも現実を見つめる、ということをひとまず意識していきたいです。

読んでいただいてありがとうございました。自分は大喜利に関して自信があるわけではないけど、自分にしか言えないことが少なからずあるのではないかと思っていたので、そういうことを書くことができて良かったです。大喜利を始めて良かったなと思うのは、面白さの幅と深さが拡張された（と感じる）こと、そして何より、気の合う友達ができたことです。結局そういうところに落ち着くんかいと思われるかもしれませんが、本当に思っていることです。何にせよ、これからも大喜利は続けていくつもりなので、何卒宜しくお願いします。