予選1回戦 グループH 学校机にギャルでの焼いてさんの投票先一覧

フニャダキシンさんの回答

すり足で近づき、伝統の場だと思わせる

2 焼いて
のっぺさんの回答

机ごと押したらパレードになった

2 焼いて
樹上歌人さんの回答

 気づいてくれあおぴ。気づいてくれあおぴ。俺はここにいて、そこはお前の居場所じゃない。

 俺はあおぴが嫌いだった。あおぴは同じクラスのギャルで、男女を問わず人気者だった。だれにでも気軽に声をかけて、ちょっとサブカルに興味があって、「オタクに優しいギャル」なんて呼ばれている。
 「あおぴはトイレに行かない」とか言っちゃってさあ。それはギャルの属性じゃなくてアイドルの属性だろ、って、俺に友達はいないから頭のなかで文句を言うだけなのだけれど。
 でも俺は知ってる。あおぴだって明るい側面だけじゃない。人間、だれだってそうだろ? 体育のときにいつも、あおぴは屋上でサボって運動場からみんなを眺めているということを、俺は知っているのだ。俺に言いふらす友達がいないことに感謝しろよ、あおぴ。
 いまは昼休みで、あおぴは俺の机に座っている。自分の席に戻りたいのだけれど、いま戻るわけにはいかない。あおぴの周りのたくさんの人間と会話するはめになるから。他人の邪魔になっていることに気がつきさえすれば、あおぴはすぐ謝ってその場をどくことだろう。でもそれが会話のきっかけになってしまう。コミュニケーションがあらゆることを解決するとおもっている、慢心。その慢心が俺は嫌いだった。
 気づいてくれあおぴ。気づいてくれあおぴ。遠くから、そう念を送りつづけるしかない。俺はおまえが嫌いだけど、おまえの普段の気づかいの能力は評価してやってもいい。

 やがて、ひなぽよ(あおぴの友達、ギャル)たちとお喋りしているあおぴの隣に、翔がやってきた。俺の机に腰かけているあおぴに、翔は「これから屋上に来てほしい」と耳打ちした。
 翔はサッカー部で、あおぴと同じようにいつも人の輪の中心で__じつは小学生のころは、俺とも親しい友達だった。でも翔が公立の、俺が私立の中学にそれぞれ進学してから、おたがい疎遠になったのだった。
 運動もだめ、対人関係もだめ、けれどテストだけはそこそこ要領よくやれた俺は、県外の高校に合格して通うことになった。そこで翔と再会した。再会とは言えないかもしれない、だって、すっかりみんなの人気者になった翔は、きっと俺のことなんて覚えていないだろうから。
 翔は、俺が持ってるものも、持ってないものも、たぶんぜんぶ手にしてるような気さえする。でもあおぴを嫌うみたいには、嫌いになれない。ずっと親しかった思い出のせいだと思う。
 翔に連れられて、あおぴは教室を出ていく。どいてくれという俺の祈りはあおぴには届かなかったけれど、神様には届いたのかもしれない。意地のわるい神様も、たまには弱者への施しをなさるようで。
 屋上。あおぴと翔はつきあうのかな。もうつきあってるのかもしれない。あおぴは翔まで俺から奪うのかと思った。ひどいやつだと思った。思って、すぐにそれは勘違いだということに思いあたって、愕然とした。あおぴが俺からなにかをとりあげたことなんてない。俺が勝手にぜんぶ道ばたに失くしてきた。

 なんで俺は、こんな野次馬みたいなことをしてるんだろう?
 俺は屋上にいた。あおぴと翔が話しているのを、こっそりと見ている。せっかく自分の椅子に戻れそうだったのに、なんでこんなことを。あたまがもやもやして、うまく言語化できない。ただじっとりと、不快な狭霧のようなものが胸を埋めるのを感じるだけだった。
「なあ、あおぴ」
 まず翔が口をひらく。
「翔っち、こんなとこ呼んで、うちになんの用事?」
 みんなに話せんようなことなん、あんな風に連れだしたら水くせーって思われんよ、とあおぴはすこし笑って続ける。翔っち、なんて馴れ馴れしく呼ばないでほしい(俺が小学生だったときでさえ、翔くん、としか呼べなかった。ほんとうはふたりだけの呼び名がほしい気持ちもあったけど、怖くて無理だった)。それに「なんの用事?」も気分がよくない。だいたいこういうときは告白すんだろ。ギャルが鈍いのはフィクションのなかだけで十分じゃないですか、って愚痴を言う相手も、ここにはほんとうにいない。
 けれど、つぎに翔の口から出てきた言葉は、俺の予想とはまったく違うものだった。
「あおぴ__いや、葵、だよな? なんで初対面みたいにすんのか、俺にくらい教えてくれてもいいじゃん、水くせーはどっちだよ」
 知りあいだったのか? なんか、思っていた話と違って、安心したような気分で、でもなにに安心したのかわからなくて、頭がひどく痛い。
「急にどしたん、翔っち、だいじょぶ? うちは葵に決まってるし、会ったのは高校が初っしょ」笑いながらあおぴが応えるけれど、こんどはどこか苦しそうにも見える。
「そうじゃなくて__」
 そう翔が返そうとすると、あおぴは、いきなり体の主導権を奪われたかのように体をおおきく揺らして、膝を崩れさせる。あおぴがコンクリートに倒れこむのにいちはやく気づいても、俺はなにもできなかった。

 俺はずっと俺が嫌いだった。
 小学生のころから、「男子」として求められることがほとんどできなかった。
 まず運動ができなかった。男子のコミュニティに参加するための下世話な冗談みたいなものにも、まったくついていけなかった。
 小学生時代はまだよかった。気安く話せる女子の友人たちがいたし、他の男子にいやなことを言われるときも、翔に助けられてきた。
 翔がいなくなってからの中学時代は、ほんとうに地獄みたいだった。
 女子とは表だって話せなくなった。俺と話すような女子は男子からよく思われないということに、みんな気がつきはじめる年頃だった。
 男子どうしの暴力的なコミニュケーションにも、過激になる下品な会話にもついていけなかった。それを拒否するほど、空気の読めない人間になった。ほんとうは憧れていたのかもしれないけれど、自分にできないことをしようとするたびに苦しくないだけだった。
 やがてインターネットに閉じこもるようになった。ネットには「女」が嫌いなひとたちがたくさんいて、そのひとたちは科学や歴史学のようにみえるなにかを振りかざして、堂々と女のひとたちを攻撃していた。
 ネット上で他人にあわせるのはすごく簡単だった。文字だけのやりとりだったから。俺は女性を毛嫌いしているふりをして、たくさん友達をつくった。ゲームの話や、アニメの話をたくさんした。楽しかった。楽しくなればなるほど、さみしかった。女性を憎悪する言動が内面化されて、いつしか俺は、こんな思いをしなくていい女のひとを、ほんとうにずるいと思うようになっていた。
 高校に進学する三月、ひとり暮らしをはじめた。こんな風になれたらと思って、ギャルっぽい服を街で買って、家でこっそり着ていたら、やめられなくなった。
 女がずるいなんてことないって、「ギャル」とくくられるひともひとりの人間で、それぞれの属性で見られることの苦労があるんだって、それからやっとわかった。
 葵、と翔が親しげに俺の名前を呼んでくれた日々を、いまも鮮明に思いだせる。
 無理させてごめんな、あおぴ。俺はここにいて、ここはお前の居場所じゃない。

「気がついたか?」
 それは俺の声ではなくて、あおぴの声でもなくて、翔の声だった。翔が俺を、いやあおぴを保健室まで運んでくれたのだ。俺はベッドで寝ていて、翔がそれを心配そうに見おろしていた。
「うん、ありがとう、翔くん__いや、まじあんがと、翔っち」
 翔はそれ以上なにも尋ねなかった。すこし笑っていた。

 つぎの朝、学ランで教室に入ると、ひなぽよはこれ以上ないほどの笑顔で、
「あおぴ、男装もめっちゃかっくいーよ」
 そう言って指でハートをつくってくれた。そういうことになってるのか。
「まじ? 嬉しい」
 かろうじてうちはそれだけ口に出して、同じようにハートを返す。
 男性としての外見をはっきり褒められたのはほとんど初めてのように思えて、ひなぽよのそのたぶん無神経な褒めことばがひどくうれしくて、この期におよんでみずからの男性性をよろこんでいる自分が嫌いで、でもいまこの瞬間はそれでもいいと思えた。俺はここにいて、ここが俺とあおぴの居場所だった。

2 焼いて
かくれどりさんの回答

歯にデコピンしたらエグい音が鳴った

2 焼いて
かごめさんの回答

口紅の話ならいっぱいメモ取る

2 焼いて
3ねこさんの回答

ビンゴカード置いて、始めちゃう

2 焼いて