昨今、ネット大喜利界隈の人口も次第に増加し、投票においても多様性が重視される中、現役プレイヤーがどのような考えの下で投票を行っているかを知るため、3人のゲストの方々にインタビューをさせていただきました。
まずは、今回インタビューに応じてくださった3名を紹介したいと思います。
おうかさん

大喜利歴 | 2年 |
主な実績 | ボケクエ4優勝 |
自己紹介 | 好きが高じて大喜利の理論を考え出そうとしているが、 これまでに何度も挫折している |
たんじぇんとさん

大喜利歴 | 4年 |
主な実績 | 大喜利プラス八段、大喜利W杯ベスト16 |
自己紹介 | 大喜利プラス出身です。しれっと面白いことを言いたいな〜と 日々思ってます。よろしくお願いします! |
とけつだいこんさん

大喜利歴 | 2年 |
主な実績 | コガトナ2020 3位 大喜利3Pサバイバル 優勝 ネタボケライフ レート1位 |
自己紹介 | ネタツイ出身で、約2年前にネット大喜利を始めました! どのような回答がウケるのかを論理的に考えるのが 好きで、大喜利の考え方についての記事もいくつか 書いており、このGiriNewSでも今後記事を書かせて いただけることになりました 今日は他のお二人に負けないよう頑張ります! |
それでは早速インタビューを始めたいと思います!
本日はインタビューを受けていただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いします!
(一同)よろしくお願いします!
では早速質問に移らせていただきます。
現在、様々な大喜利サイトでご活躍されてるお三方ですが、投票時に点数をつける基準を教えていただけますか?
特に現在主流となっている(0)2・3・4点方式において各点数をつける時の基準が知りたいです。
引っ掛かりがあった回答の中での相対評価で決めています。「面白かった」ではなく「引っ掛かりがあった」としているのは、たとえば、グループ内に一つも面白いと思える回答が無かった時、「それじゃあ何にも投票しないでいいや」という態度を取るのは評価を放棄していると言えると思います。それを避けるために、少しでも琴線に触れるところがあれば一旦投票対象にしてみる、という方式をとっていますね。
なるほど。絶対評価と相対評価を使い分けているんですね!
たんじぇんとさんと とけつだいこんさんはどうでしょう?
最高点の4点をかなり特別視していて、すごい!!と思ったら4点を入れることが多いです。すごいというのはすごく笑ったという場合が1番多いですが、お題に対してこれ以上ない正解だなと感じた時や、自分には絶対に出せない発想に脱帽した時などに4点をつけます。笑える回答という前提ではありますが。 2点、3点は、自分の中である面白い基準を越えた回答に対して相対的につけることが多いです。 判断基準が違うので、投票を見返した時に2点と3点を調整することはよくありますが、4点を変えることは滅多にないです。
どっちの言ってることもわかるなー。
自分は基本的には 、
2点→「そういう答え方できるよねー」とは思いつつ面白いなと思ったり、納得感のある回答
3点→そんなやり方があったか!と思わされたり、かなり面白いと思った回答
4点→このやり方で面白くできるのか、と感動したり、忘れられないほど面白い回答
みたいな感じでつけてます! 基本的に、と言ったのは絶対評価で点数をつけるとちょっと票の数が少なくなるような時とかは少し相対評価寄りに投票したりします。そういう意味では2点を入れる基準が1番変動しやすいかなと思います。
お三方に共通してるのは、やはり絶対評価と相対評価の使い分けですね。
ネット大喜利は1つも投票しない、ということは順位に差がつかなくなるので最低限の投票の担保を取るということですね。
他の方に対して何か質問がある方はいますか?
自分はおうかさんの思う「回答の引っ掛かり」がどういうものなのかちょっと聞きたいですね。
たとえば、自分はよく「アイデア点」という言葉を使うのですが、これは『すごく刺さったわけではないけど、この発想はすごいと思った』という回答に投じる点のことです。お題に対する回答の方向性やワードセンスなど、回答における発想の部分はいくつかありますが。
2点の回答に「アイデア点」を使うんですか?
そうですね。
なるほど。3点以上は?
3点からは「面白い」ということになりますね。
それは「アイデア点」がある前提で、ってことですか?
そうですね。「アイデア点」以上のものがあるということですね。
自分はそれを3点に使ってることが多いかなぁ。
「アイデア点」とは”面白さ”というよりは”凄さ”みたいな感じですかね?
そうですね。自分の感覚としてはそういう感じで、発想の良さ・そういう角度があるんだ、みたいな。
とけつだいこんさんが普段言っている納得感に近いですね。
自分の言う納得感は、自分がこのお題を考えるとしたらこの回答は出るよな、って感覚なんですよね。自分でもこういうことやると思う!みたいな。
「こういうのウケると思うよな」という感覚を共有できてると「はいはいはい」って投票しちゃいますね。
自分がやるかもしれないボケにも投票するんですね。
どちらかというと、自分が思いつかない発想の回答に投票する人が多いと思うのですが。
それは3点からですね。自分は。
2点はお題に対する回答の形として最低限形を成しているものには入れちゃうと思います。
入れてない場合は自分だったら出さないなという回答。
自分の2点は、回答全体としてではなく、回答のある部分に「あ、この発想面白いね」って感じです。
3点からは回答全体の面白さに対して評価をするって感じです。
なるほど。
でもその方が純粋ではあるなって思います。
自分はプレイヤーの立場になって採点することが多いと思います。
自分が出しそうな回答があると自分の感覚があってる気がして嬉しくなるというか。
もちろん、思いついて弾くボケには入れません。思いついて自分でも投稿するかもなって回答に入れます。
回答の「骨格」って話あるじゃないですか?ああいう単位で回答を見てるので、こういう回答の仕方はアリだよなみたいなのが自分の中にあって、アプローチの仕方というか、それ自体は自分が思いつきそうであっても出しそうだったら点入れますね。
ある程度皆さんの投票基準が分かったところで質問があります。
今までに4点を入れた回答とその理由を教えていただけませんか?
最近のやつであるんですけど、
この回答ですね(※外部サイトに飛びます)
※大喜利名人維新の主戦場対抗大喜利フェス2021。管理人の方にリンクの使用許可を取っています。
今見ても面白(笑)
採点基準の時にも言ってるんですけど、「このやり方で面白くできるのか」ってところで点入れてます。
自民党ってワードめちゃくちゃ性格のあるワードじゃないですか。
少し票を取りづらそうなワードではありますね。
変に色がある。政治とかに関連してるし、こういうワードで受けるのは難しいと思うけど、これで面白いのはすごいと思って4点入れました。
どっから自民党というワードを取ってきたんだろう。
思考の手順が全く分からない回答はカッコいいと思いますね。
自分にはこの回答はできないので4点という感じ。
なるほど。逆算できない回答に魅力を感じるのですね!
とけつだいこんさん、ありがとうございました。
次に、たんじぇんとさんはどうですか?
自分の好みなんですけど、突然何かが起きるみたいな感じのボケが好きです。途中から加速するみたいな。途中の手順を省いて最後なんでこうなってるかわからないものが面白いんです。
すみません。今すぐ例は出せないんですが(笑)
わかりました。ありがとうございます!
おうかさんは何かありますか?
なら裏パフェから
※裏パフェ・・・大喜利パフェで行われた企画。
えっと、入れたものと入れた理由ですよね
裏大喜利パフェのこのお題の4位の回答ですね。
(二人)あー、これか(笑)
これは、(このお題から)政治で国民全員にある程度の生活を保障するっていうのをまず思いつくのが難しいし、そこに対してこういう言う表現を充てているのはこのお題でしかできないことかなぁと思ったのですごく面白いと思いましたね。
これは面白かったなぁ。自分も点入れてます。
本来いいことを言ってるのに、虫がめちゃくちゃ高価な世界を想定したことで、めちゃくちゃ耳障りの悪い表現になってるのがすごいなと思いました。
たしかに(笑)
あ、自分もう一ついいですか?
どうぞ。
若干さっきの話と違うかもしれないけど、
先日のボケクエ5の回答です。
くだらね~(笑)
これマジでくだらないし、意味わかんないって感じではないですけど、最初の探偵のセリフの「刑事さん、この旅館にいる人たちを全員」からの「あちゅめてーん」だったからスピード感があって自分は面白かったです。
この回答、このお題でなんでわざわざこんなことするんだろうって思いましたね(笑)。
そうなんですよね!そこは全然わからないんだけど。
最後「人たち」まで行ってるのいいですよね。
「刑事」で止まらなかったって言うのが。
系統としてはこういうくだらないのが好きです。
たんじぇんとさんがこういうくだらない回答好きなのは知ってました(笑)
それぞれ嗜好の違いはあれど、心の底から笑えるのが一番ですね
では続いての質問をさせてください。
みなさんは大喜利歴が2~4年ほどですね。大喜利プレイヤーとして成熟していく頃ですが、よく言われるのが大喜利に慣れてくると大喜利を始めた初期の頃と比べ、投票数が減るということです。
これは様々な回答を見てきた中で既視感がある回答を弾くことが最も大きな要因だと思われますが、みなさんは大喜利においての既視感についてどのようにお考えでしょうか?
はっきり言うと、既視感があるボケに対して自分は弾くなり点数下げるなりしています。
これに関しては、自分とそれ以外の人との既視感があるボケについての認識が異なっている可能性があって、
自分は既視感がある回答というのは、すでにその問われ方に対してその答え方をしてるのを見たことがあるっていうのを既視感がある回答と定義してます。
そういう意味で決してワードレベルの既視感や言い回しレベルの既視感で評価を大きく下げることはないかと思ってます。
自分が回答を作るとき、昔の回答を参考したり、それこそ他の人の回答に影響を受けてることは0じゃないと思うので、同じようなことをしてるような、悪く言えばパクリと思われないような工夫を自分はしてるつもりなので、既視感があるって思われるようなそれを怠っているような回答は評価を下げざるを得ないかなと思いますね。
もちろん、それが既にやられていると知らない人もいるとは思いますが、自分は見たことあるので自分は下げますね。
例えば「こんな犬は嫌だ」というお題があったとして、「猫だ」という回答があったとします。また、「こんなお爺さんは嫌だ」というお題で「お婆さんだ」という回答があったとします。これはお題と回答のワードは違いますけど、ワードを反転させただけという意味では同じなのですがどうでしょう?
これは既視感ですね。
回答の作り方として逆というのをやってて、単純に単語の入れ替えしかしてないので無理ですね。
これが「猫の顔した犬だ」とかちょっとでも付いてたらまた少し変わってくると思うんですけど、ここに多少の工夫は欲しいかなって思いますね。
(この例では)構造として”逆をやる“をベースに考えるのはいいんですけど、一から十まで同じに見えますね。「犬」と「猫」、「お爺さん」と「お婆さん」の関係性は。
自分はここで工夫して差別化を図ろうという意思が見えないのが嫌だ!(笑)
っていうので評価を下げます。
ありがとうございます。
既視感について他に意見があれば。
僕からいいですか?
とけつだいこんさんの話と通じるところもあると思うんですけど、
どのレベルでの既視感かっていうのが投票するしないの判断に関わってくると思います。
過去に見た回答と全く同じ回答ならば投票は確実にしないし、方向性・アイデアが似ている程度であれば僕は気にしないことがほとんどです。
これは体感的なものなので、言語化が難しいのですが
どんなお題であれ、お題に対する回答の方向性はすごく抽象的に見れば多分そんなにあると思ってないので、具体化で差別化する必要があると思います。
骨格部分の既視感に関しては何も評価の判断に加えないし、仕方ないことだと思ってるけど、具体化レベルでの似た表現はあまりにも似ていると票は入れないかな、という感じですね。
別にインプットに依存したものをそのまま回答にする時期って誰にでもあると思うし、成長するために不可欠だと思うんですけど、そう思ってるから別に既視感がある回答に嫌悪感があるわけではないんです。
自分も嫌悪感を持ってるわけではないですね。
単純に満足はできないから票は入れないと思います。
あとは、例えば「こんな学校は嫌だ」みたいな限定的なお題において、学校の要素って拾われ尽くされてると思うんですよね。
例えば『黒板』っていう要素を拾ったときにそこまで具体的な要素を拾ってしまうと、回答の仕方って本当に数通りしかないと思っていて、 『黒板』 を要素に取った時点で回答が似てしまうのはしょうがないと思っていて、お題によりよりけりでもあるのかな・・・初心者にとっては厳しい戦いを強いられるのかなって。
たんじぇんとさんはどう思うかわからないけど、自分はそこはそうでもないな、って思って
具体化からは意外とどうとでもできるって思ってるんですよ。
むしろ 『黒板』 使ってがっつり見たことないことやられると票入れちゃうと思うんですよ。
ハードルは上がりますよね。
ハードルが上がるのは確かにわかる。
でもそれでワクワク感も上がりますね。ありきたりなワードでどう笑わせるのか。
さっきの自民党の話と通じるんですけど、そういうのを使って見たことないのやってもらえるとめっちゃ楽しいなって。
わかるんですけど、初心者にとっては 『黒板』 に内在してるものや周辺的な要素から回答を作っちゃうと思うんですよね。でも、 『黒板』 とかの単語を使って新しいことやられるとワクワクするのはありますね。
そうですね(笑)
既視感というよりはなんだろうな。
自分が点数を入れる基準はある一定以上面白いかどうかで、自分が面白いと思うものは独創的だったり意外性がある回答が多いので、どこかで見たことがあると思っちゃうとやっぱり意外性がないから面白いと感じなくて点数を入れない。既視感があっても面白いと感じる何かがあれば問題なく点数を入れると思いますね。うまく説明できないけど。
とけつだいこんさんの言うように何か工夫がほしいというのはめちゃくちゃわかるなって思ったし、おうかさんの言った身近なワードを使うとハードルが上がるってのはどっちも共感できますけど、自分の中ではどこまでが既視感なのかというのがからなくなる時がありまして、
2・3年以上やってると回答を見る回数もかなり増えてくるからどんどん刷り込まれていって見たことない回答を見たいって気にはなってしまうのかなって思いますね。
その人らしい回答ってあると思うんですけど、いわゆるその人の色が見える回答。その人が本当に面白いと思って出してるので色のついた回答になると思うので、(その場に)合わせるっていうのが直接既視感に繋がるのかわからないけど、自分の色のついた回答を出してほしいなって思います。
見たことあるなって思いながら面白いって入れる時ありますけどね。
(二人)それはありますね
でも、そういう時は「このお題でそれやるんだ!」みたいな驚きがありますね。
なんか、使い方というか
そのやり方自体はあるけどそれをここで使うのかみたいなのが少なくともありますね。
お題と照らし合わせたときに見え方が全然違う時ありますよね。
あとは単純に自分が「自分がそのやり方忘れてたわ~」って時もあります(笑)
(笑)
では最後の質問です。
世間では自粛期間ということもあり、家で過ごす人も増えた影響かネット大喜利の人口もかなり増えましたよね。
もともとネット大喜利はアンダーグラウンドな側面が強く、投票傾向も少し特殊だったりする中で、新規の方が多数参入してきた今、なにか投票傾向に変化は感じますか?
正直自分はボケクエに関しては感じてないですね。ちょっとずつ変わってるからあんま分からないぁ。
いまボケクエ3とかの上位回答見たら「うわ、これ上に来るのすごいな」ってなるんだけど、自分は別にそれを良しとも悪しともしてないというか、新しい人が入ってきて傾向が変わるのは自然なことと思うし、流行り廃りはあるわけですからね。どういう世界でも。
自分は気にしないし、今までウケてたものがウケなくなるのは寂しい感じがするんですけど、自分が面白いと思ってるものは変わらないんで。
感じてるか感じてないか答えるなら0ではないです。
でもそれが良いこと悪いことではないかな別に。
二人はどうですか?
自分は大喜利プラスから始めたんですけど、
上位って笑えるというよりかは「お、すごいな」みたいな何て言うんだろ。こだわりの部分まで深く突き刺さるものではなかったんですよね。こだわりができた今、振り返っても仕方ないことだと思うんですけど、
その大喜利プラスの分かりやすさ重視なところから、分かりにくくても自分が面白いと思う回答だすみたいな流れになって、また、今は若干分かりやす目の方に波が来てると思ってて、
結局、波だと思うんですよ。この時期が来て、この時期が来るみたいな。
僕はとけつだいこんさんよりかは投票傾向の変化を感じてるんですけど、
うん。
分かりやすい回答がウケてる感覚がするんですけど、それでまた新規参入の方たちが独自のこだわりを持って自分の方向に向かうと思うから投票傾向の変化はあると思ってるけど特に悪いこととは思ってないです。
たんじぇんとさんはどうでしょう?
自分は個人がどれに投票してもいいなと思っていて。明確な基準がないわけだから自分が面白い思った回答に投票できるのがネット大喜利の良いところで、
自分も昔の時代のこととかあまり知らないので、どのくらい捻った回答が評価されてたのかあまりピンと来てない感じですね。
昔からやられてる方と僕ら世代の方だと感じ方は違うのかなって思いますね。
結局、新しい人達が入ってきたら環境が変わって何かしら言われるからなぁ。自分たちも言われてたし。別にそれを気にする必要はないです。
まさにそうですね。
大喜利の長い歴史の中で投票傾向が変わるということは至極当然なことですね。
人が増えることは喜ばしいことだし、自分は大歓迎です。
ありがとうございます。
これで質問は以上です。
貴重な意見をお聞かせていただいてありがとうございました!
ありがとうございました!楽しかったです!!
お疲れさまでした!沢山大喜利の話できたの普通に楽しかったです
楽しませていただきました!
インタビュー中にもあったように大喜利の投票に明確な基準はないです。
投票の傾向は十人十色なので、正解もないはずです。
自分が本当に面白い!と思った回答に自信を持って投票することが
大事だと感じました。
お三方ともしっかりした考えを持っていて感嘆しました。
2時間にも及ぶインタビューでしたがとても楽しかったです!
本当にありがとうございました。
笑うモールス信号
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